楽曲考察 ピンク・マゼンダ
知って頂いている方も初めましての方もこんにちは、りぼんです。
最近、彩ちゃんファンでブログを書いている方が多く、感化されたという単純な動機でブログを始めました。笑
この記事では、タイトルにもありますが内田彩さんの楽曲「ピンク・マゼンダ」 について音楽(主にコード進行)視点で考えていきます。
※1分以内の動画が多数出てきます。通信量にご注意ください!
0.簡単に自己紹介
内田彩ちゃんの大大大ファンです!!
ラブライブでことりちゃんの声に一聴き惚れし、ずっとことりちゃん&彩ちゃん推しでした。ソロデビュー後もずっと応援しています。
この記事では音楽的なことを書いていますが、一応少し音楽を勉強してきた者です。
大学は教育学部音楽科で、卒業後も中高や保育園で音楽の先生、打楽器講師をしています。
専門はピアノと打楽器です。
肩書きだけ並べると強そうですが、音楽理論は幼少期から得意ではないので、当記事も温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
1.ピンク・マゼンダとは
彩ちゃん楽曲のなかでも特徴的な一曲。
この曲に関しての解釈は他にいろんな方の素晴らしい言葉があるので私は下手に書けませんが、
いいことも悪いこともピンクで包んで生きていこう
というものの捉え方をしている曲です。
2.曲の基本データ
まずテンポは♩=75です。
♩=60が秒針と同じ速さ、Floating Heartが♩=126とかなので、ややゆっくりめのテンポ設定です。
調はG♭durですが、サビのみB♭durに転調しています。
ちなみにG♭durとはソの♭から始まる長調(明るい調)のことです。
G♭durは♭が6つもつく、全調性の中で2番目に♭が多い調です。
これですこれ。 譜読みが大変なやつです。
転調後、サビのB♭durは
これです。♭が2つに減りました。
そもそも調性は#(シャープ、半音上がる)系と♭(フラット、半音下がる)系の二種類がありますが、
基本的に#系は元気・明るい、♭系は穏やか・優しい雰囲気があります。
彩ちゃん楽曲でいえば、#系は
ex.)Breezin'、Go My Cruising!
♭系は
ex.)with you、SUMILE SMILE
です。Cdur(ドから始まる、#も♭もつかない調性)以外はこのどちらかに振り分けられます。
そしてイメージで言うと♭が多い方が柔らかさが増します。
ピンク・マゼンダがG♭durであるところ、サビで♭が減るところも曲の雰囲気に大きく関わっているポイントですね。
展開は、
前奏→(1番)A→B→C(サビ)
→(2番)A→B→C(サビ)
→D→C(いわゆる落ちサビ)→C'(落ちサビと後奏の間)→後奏
となっています。分かりにくくてすみません…C'があること以外は一般的な展開ですね。
3.コード進行
さて、本題に入っていきます。
※当記事では分かりやすさを優先し、コードを簡易表記しています。
本当はE♭7とかsus4とかカッコいい和音がたくさん出てくるんですが、今回の論点は簡略化しても通じると思うので、あえて情報量を減らしています。
「コード違うじゃねえか!」という点に関してはご容赦ください。
この曲はコード進行に少し特徴があります。
なかでも2つの要素に注目しながら、一曲のコード進行をみていきたいと思います。
3-1.繰り返す和音
まずこちらをお聞きください。
これはピンク・マゼンダの前奏で使われている和音です。
B→B♭/G♭とコードが動いています。
このコードに合わせて、中高音で飾りの音(右手で弾いているレミラ〜)が入ります。
そしてそのままAメロに入りますが、Aメロも前奏と同じコード進行です。
印象づけずに歌に入る工夫になっています。
続けて聴くとこんな感じ。
歌詞と関連付けてもAメロは導入であり、大きく物語の始まりを示しているわけではないので、
あくまでテーマ(メロディ)の提示だけに抑えているという工夫がなされているのではないでしょうか。
次にBメロに入ります。Bメロではコードは少し変わりますが、先ほどまでのように同じコード進行を繰り返します。
これにメロディが乗るとこんな感じ。
こうして同じコードを繰り返すことで、並列感、浮遊感…なんと言うのが正しいかわかりませんが、前進し過ぎない不思議さを出しています。
3-2.サビのE♭
曲の基本データでも触れましたが、サビではB♭durに転調します。
で、サビに入るのですがいきなりE♭から始まるんですね。
E♭(ミの♭)は、B♭dur(シの♭から始まる音階)では4つめの音にあたります。
ピンク・マゼンダ解説⑨ サビのコード進行 - YouTube
音楽ではこの第4音は少し不安定な音として使われます。
大抵の曲のサビは、第一音(この場合はB♭)から始まります。
そこであえて少し不安定な和音から始まるところもミソかなとおもいます。
(以下、既出の2つの要素が混在した文章になります)
そしてサビ終わりで、解決せずにまたB→B♭/G♭が登場します。
ピンク・マゼンダ解説⑩ 1番サビ終わり〜 - YouTube
ちなみに解決とは、コード進行が落ち着くことです。
お辞儀のときに3つ和音鳴らしますよね、気を付け→礼→戻る、この「礼」の和音から「戻る」の和音を聴くとまとまった感を感じると思います。
そして2番サビでは、解決して終わります。
ちゃんとサビの調性、B♭で終わりました。
ではサビの終わり方を比較してみましょう。
面白い…。
1番ではまだ話は終わってなくて浮遊状態に戻りますが、2番では新しい展開(Dメロ)が出てくるので解決させているんですね。
そしてDメロ、歌詞も過去の思い出を並べるところですが、それに沿ったコードということで
ピンク・マゼンダ解説⑬ Dメロのコード進行 - YouTube
また繰り返すB→B♭/G♭です。
並列感を出しています。
ではここで、始めから登場してきたB→B♭/G♭を振り返っておきます。
ピンク・マゼンダ解説⑭ B♭→B♭/G♭まとめ - YouTube
曲の半分くらいこれで成り立ってますね。笑
落ちサビでも解決せず、後奏までE♭という不安定な終わり方で進んでいきます。
4.感想(考察と言えるほどではない)
さて、コード進行を主につらつらとこの曲をみてきました。
上記のまとめとして、私が考えるピンク・マゼンダの音楽的工夫は以下です。
- 速くも遅くもない絶妙なテンポ設定
- G♭durというふわっとした調性
- 繰り返すコード進行
- 不安定な第4音を多用したサビ
前者2点でふんわりとした曖昧さ、不思議感を出し、
繰り返すコードで説明的な歌詞を、物語のように起承転結させるわけではなく、でも停滞し過ぎないように進行させています。
そして不安定な第4音、この音は安定を求めて解決する和音(第一音を根音とする和音)に進む性質があります。
(さっき説明したお辞儀の3つの和音の「礼」にあたります)
そこから「次に進む意思」が汲み取れます。
はじめにも書いた
いいことも悪いこともピンクで包んで生きていこう
この「生きていこう」という意志の部分に一役かっているわけですね。
ピンク・マゼンダ、メッセージ性が強く好きな人も多いと思いますが、
そのメッセージ性を強める工夫が伴奏にもあるということが伝われば幸いです。
拙文失礼しました。
そして最後まで読んでくださりありがとうございました。